長距離運転に疲れたとき、ふらっと立ち寄りたいのが道の駅。地元のうまいものを食べさせてくれたり、農産物を買ったり、ちょっとした観光拠点も兼ねている。テレビで特集されることもあるし、道の駅めぐりをする旅行者もいるらしい。

しかし、僕らが子供の頃はドライブインだ。当時からくたびれた印象だったし、食事はカツ丼やラーメンなど、どこにでもありそうなものが定番(勝手な想像)。いつしか廃れ、いまなお営業していてもそこは昔を懐かしむ人、あるいはトラックドライバーの拠り所と化している(勝手な想像)。

オートレストラン長島

ドライブインの閉店の報など普段見過ごしてしまうが、ふと目に留まった写真には天然温泉の文字。トラックドライバーもたまには足を伸ばして温泉に浸かりたいだろう。道の駅と温泉なら休日の賑わいも目に浮かぶが、ドライブインとあってはどんな風情か。しかもリゾートが売りの長島温泉だ。

オートレストラン長島

名古屋から長島温泉まで直通バスだと約40分の道のり。最寄りのバス停は長島スポーツランド。「ナスポ」と略してしまうのがやはり名古屋圏だ。バスで訪ねる人は稀なのか、とんでもないところで降ろされる。不親切な道案内に従ったら、ショートゴルフや乗馬クラブの敷地を大回り。やっとの思いで到着するも、なんてことはない普通のドライブイン。当たり前か。

オートレストラン長島

しかし、巨大な看板を目の前にしたら、高まるテンションは抑えられない。日が沈めばド派手に灯るのだろう。さっそく中へと入ってみるが、懐かしさやくたびれた雰囲気はなく、想像以上にまともだった。閑散としたゲームコーナーを模様替えし、地元の農産物でも売れば集客は見込めそう。

オートレストラン長島

まずは食堂で腹ごしらえ。カツ丼やラーメンといった定番から、味噌カツやきしめんなどご当地メニューもずらりと並ぶ。名古屋メシはたまに食べるくらいがちょうどいい。

オートレストラン長島

食堂は24時間営業だが、温泉は夜通しの21時間営業。ドライブインに仮眠室はないため、ひとっ風呂のみの利用となるが、長距離ドライバーの味方であることは間違いない。浴室内に大小2つの湯船、サウナと水風呂、露天に岩風呂と五右衛門風呂。源泉は地下1,400mより湧出し、かけ流しで使用しているという。訪ねて来る客はそんなことどうでもいいとばかりに、ひとり静かに風呂を済ませ、あるいは顔見知りどうしで話に花を咲かせていた。

オートレストラン長島

隣接するスポーツランドにも温泉施設(クアハウス長島)はあるけれど、目と鼻の先で共存していたということは、客層や目的が異なるのだろう。リゾートが売りの長島温泉(スパーランド)はだいぶ南にあって、ここにあるのはトラックドライバーの日常のひとコマ。オアシスともいえる空間だが、間もなく役目を終える。

オートレストラン長島


オートレストラン長島
源泉/長島温泉(単純温泉)
住所/三重県桑名市長島町福吉526-17 [地図]
電話/0594-45-8866
交通/名鉄バスセンターから約40分「長島スポーツランド」停下車
   国道23号線(名四国道)沿い、無料駐車場100台分あり
料金/温泉は大人550円(中学生以上)、小人250円
時間/24時間(温泉は10:00~翌7:00)、年中無休